注文住宅を新築する際の断熱材について

おはようございます
宇治市で注文住宅とリノベーションを手掛ける工務店
株式会社 stats living company の井上です。

いつもブログを読んでいただき、ありがとうございます。
本日のテーマは

「注文住宅を新築する際の断熱材について」

昔の家には入っていませんでした。ですが、年月が経つとともに屋根や外壁、断熱材も進化を遂げています。最近では、お客様の方から率先して断熱材や断熱性能についての質問をいただいたりします。私としては、そういう質問をいただくと嬉しいものですね。アツいお客様だなと。私も長く大工職人をしていましたから、アツく語ってしまいます。注文住宅を新築するなんて、一生に一度あるかないかでしょう。注文住宅を新築する際、絶対に後悔しないよう、今回は断熱材について解説していきますので、お付き合いください。

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そもそも断熱材って?


断熱材は建築物や住宅において、外部からの気温の影響を軽減し、室内の温度を快適に保つために使われる材料です。適切な断熱材を使用することで、エネルギーの節約や快適性の向上が期待されます。以下に、一般的な断熱材の種類と特徴をいくつか挙げてみます。


グラスウール

グラスウールは、ガラスを高温で溶かしミクロン(1,000分の1ミリ)単位の細い繊維にして綿状にしたものです。 リサイクルガラスを主成分とし、耐熱性や不燃性、耐久性などの点や、繊維がもつ柔軟性をあわせもった素材として、さまざまな分野でその活用範囲を広げてきました。軽量で柔軟性があり、防火性も高く、音を吸収する性質もあります。一般的には防湿フィルムに覆われた、このような形状をしています。

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硬質ウレタンフォーム

発泡ウレタンは発泡剤を含んだプラスチック素材で、優れた断熱性を持っています。柔軟性があり、隙間や複雑な形状にも適しています。ただし、最近では改善されてきたものの、防火性能に注意が必要です。

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セルロースファイバー

セルロースファイバーは再生紙を原料として作られる断熱材で、環境にやさしい特徴があります。吹き込み工法が一般的でしたが、問題点もあったことから改良され、最近では吹き付け工法も登場しました。壁や天井に充填することができます。

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(吹き込み工法)

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(吹き付け工法)


最近の注文住宅で一般的に使用されている断熱材の種類をざっと解説していきましたが、ここからはもう少し詳しく、メリットデメリットについても解説していきたいと思います。


グラスウールの場合

メリット

優れた断熱性能: グラスウールは優れた断熱性を持っており、外部の気温の影響を軽減し、室内の温度を安定させることができます。

防火性: グラスウールは非常に耐火性が高いため、火災の際に建物の安全性を向上させることが期待されます。

音の吸収: グラスウールは音を吸収する性質があり、部屋内の音響環境を改善する効果があります。

柔軟性と軽量性: グラスウールは柔軟で軽量な素材であり、施工時に取り扱いやすく、様々な形状に適応することができます。

リーズナブルな価格: 他の一部の断熱材と比較して比較的リーズナブルな価格で入手できることがあります。

デメリット

刺激的な性質: グラスウールは細かい繊維から成り立っており、肌や呼吸器に刺激を与える可能性があるため、施工時や取り扱い時には適切な防護措置が必要です。

湿気への弱さ: 長期間にわたり湿気にさらされると性能が低下する可能性があります。湿気がある環境では適切な対策が必要です。

施工の際の注意が必要: 施工時には繊維が舞い上がることがあり、作業者や住民の健康への悪影響を防ぐため、施工には適切な対策が必要です。

スペースの有効活用: 施工においては一定の厚みが必要であるため、断熱効果を得るためには一定のスペースが必要です。

再利用の難しさ: グラスウールは再生紙とは異なり、再利用が難しいことがあります。

グラスウールを選択する際は、上記のメリットとデメリットをバランスさせ、建物の特定の要件や用途に合った適切な断熱材を選ぶことが重要です。また、施工時には適切な安全対策を講じることが必要です。


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硬質ウレタンフォームの場合


メリット

高い断熱性能: 硬質ウレタンフォームは優れた熱伝導率を持っており、相対的に薄い層でも効果的な断熱が期待できます。

軽量かつ強力: 硬質ウレタンフォームは軽量でありながら強力な機械的特性を持っています。これにより、施工時には軽量な構造物を得ることができます。

連続性のある断熱層: 施工する際に隙間や継ぎ目が少ないため、高い気密性を実現し、冷暖房効果を向上させます。

柔軟性がある: 施工現場の複雑な形状にも適応でき、隙間や空洞を埋めるのに有効です。

耐水性が高い: 硬質ウレタンフォームは一般的に水を吸収しにくい性質を持っており、湿気の影響を受けにくいです。


デメリット

高価: 硬質ウレタンフォームは比較的高価であるため、初期投資が他の断熱材よりも高くなることがあります。

劣化: 長期間にわたり紫外線や酸素といった要因により劣化する可能性があります。適切な保護措置が求められます。

可燃性: 一部の硬質ウレタンフォームは可燃性があるため、防火性能を向上させるための対策が必要です。

施工時の注意が必要: 施工時に発生する揮発性有機化合物 (VOC) があり、十分な換気が求められます。また、施工を誤ると膨張が起きるため、注意が必要です。

環境への影響: 硬質ウレタンフォームの製造には原料の取得や製造過程でのエネルギー消費が伴います。また、廃棄時にも環境への影響が懸念されることがあります。

硬質ウレタンフォームを選択する際には、建物の要件や予算、地域の気候条件などを考慮し、適切な製品を選ぶことが重要です。また、施工は専門業者に依頼し、安全対策や法規制を遵守するようにしてください。


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セルロースファイバーの場合


メリット


環境への配慮: セルロースファイバーは再生紙を主成分としており、再生可能な素材を使用しているため、環境への影響が少なく、エコフレンドリーな選択とされています。

優れた断熱性能: セルロースファイバーは空気を含み、高い断熱性能を発揮します。これにより、外部の気温変化から室内を保温しやすくなります。

吸湿調節機能: セルロースファイバーは湿気を吸収し、必要に応じて放湿する性質があり、室内の湿度を調整する効果があります。

柔軟性: セルロースファイバーは吹き付け工法が一般的で、様々な形状や隙間にも対応しやすい柔軟性があります。

デメリット

湿気への影響: 長期間湿気にさらされると性能が低下することがあります。湿度の高い環境では適切な対策が必要です。

セット率がある: セルロースファイバーは時間の経過とともにセットすることがあり、初期の性能が持続するためには十分な厚みで施工する必要があります。

専門業者が必要: セルロースファイバーの施工は専門の業者が行うことが一般的であり、DIYには向いていません、というか無理です。

防火性の注意が必要: 一部のセルロースファイバー断熱材は防火性に関する基準をクリアしていないことがあり、防火性が求められる場所では適切な製品を選択する必要があります。

再利用が難しい: セルロースファイバーは再生紙から作られているものの、再利用が難しいことがあります。

コストがかかる:今回ご紹介した断熱材の中では施工コストが一番高いです。注文住宅を新築する際に予算をよく考えてチョイスしましょう。

セルロースファイバー断熱材を選択する際には、建物の要件や用途、地域の気候条件を考慮し、プロの助言を得ることが重要です。施工は経験豊富な専門業者に依頼することをお勧めします。


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本日のまとめと大工社長 井上の考え

今日は、文章が長いですね(笑)
もう少しだけお付き合いください。
ここまでの解説で、これがいいという断熱材は見つかりましたか?まだだという方に「私ならこれにする」という断熱材を教えます。

コスト面からセルロースファイバーは選ばない

これが私の意見です。もちろん、素晴らしいものなのですが、私の経験の中でグラスウール、硬質ウレタンフォームで十分だと感じたからです。ただし、グラスウールだけでは不十分。

グラスウール+気密シート
硬質ウレタンフォーム

こちらの2種を推します。
グラスウール+気密シートって?画像をお見せしますね。

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こちらになります。このように施工すると、国が定めるZEH基準という断熱性能を超えてきます。価格面で考えても、硬質ウレタンフォームと同等レベル。ここまでやったら十分な断熱性能と快適性を得ることができ、光熱費についても削減できます。

これから注文住宅を新築しようとお考えの方は参考にしてください。そして、あなたの家が最高の注文住宅になるようお祈りいたします。

では
本日はこのあたりで
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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